パリで逮捕されたパーヴェル・ドゥーロフ:Telegram創設者で大富豪

パリで逮捕された「Telegram」の創設者
12件の容疑
釈放されたものの……
ル・ブルジェ空港で逮捕
グザヴィエ・ニールに協力要請?
ロシアのマーク・ザッカーバーグ?
ベジタリアンでお酒は一切口にしないビリオネア
レニングラード生まれ
父の同僚はプーチン大統領
SNS「フコンタクテ」
規制の少ない「フコンタクテ」
スキャンダラスな選挙
検閲を拒否
「あっかんべー」
Telegramのアイデア
政府との対立
野党党首アレクセイ・ナワリヌイ
カネに物を言わせるプーチン政権
カリブ海に亡命
言論の自由があるプラットフォームを
規制が緩すぎる?
聖パーヴェル?
フランス国籍の取得
サイバー戦の舞台に
クレムリンと協力?
ゼレンスキー大統領も愛用
時代のキーパーソン
パリで逮捕された「Telegram」の創設者

メッセージアプリ「Telegram」の創設者、パーヴェル・ドゥーロフ(39)がパリで逮捕された。4日間にわたって警察当局に拘束され、取り調べを受けていたようだ。

 

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ドゥーロフはロシア出身で仏国籍も保有しているが、Telegram上で違法なコンテンツが拡散するのを見て見ぬふりをした疑いがもたれている。

12件の容疑

パリ市裁判所によれば、ドゥーロフには「児童の性的画像の拡散に加担した疑い」「組織的詐欺に加担した疑い」「法律に基づく当局の介入に際して、情報・文書の提出を拒否した疑い」など、12件の容疑が掛けられているとのこと。

 

釈放されたものの……

ドゥーロフはすでに釈放されているが、当局による厳しい監視下に置かれており、週に2度警察署に出頭することが義務付けられているほか、フランスからの出国も認められていない。また、500万ユーロ(およそ8億円)の保釈金を支払わなくてはならなかったという。

ル・ブルジェ空港で逮捕

ドゥーロフはアゼルバイジャンの首都バクーからフランスに渡航したが、8月24日にパリ郊外のル・ブルジェ空港で身柄を拘束された。これは仏当局の逮捕状に基づくものだ。なお、ドゥーロフはパリで会食を予定していたという。

グザヴィエ・ニールに協力要請?

AFP通信は情報筋の話として、逮捕されたドゥーロフがフランス人ミリオネアのグザヴィエ・ニールに接触したと伝えた。フランス24放送によれば、ニールは通信会社「Iliad」の創設者で、マクロン大統領とも近いとされている。

ロシアのマーク・ザッカーバーグ?

パーヴェル・ドゥーロフは西側諸国での知名度はあまり高くないが、Telegramの共同創設者であると同時に、プーチン政権にとっては気がかりな人物だ。2012年には『ハフィントン・ポスト』紙に「ロシアのザッカーバーグ」という異名を付けられている。

ベジタリアンでお酒は一切口にしないビリオネア

『フォーブス』誌によれば資産は推定150億ドル(およそ2兆2,000億円)あまり。ベジタリアンでお酒は一切口にしないというが、一体どんな人物なのだろうか?

 

レニングラード生まれ

1984年にサンクトペテルブルク(当時のレニングラード)で誕生したパーヴェル・ドゥーロフ。父はサンクトペテルブルク大学の文学教授だった。

 

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父の同僚はプーチン大統領

同校の卒業生プーチン大統領も1990年代初頭、母校に勤務しており、当時古典文学科の学科長を務めていたドゥーロフの父とは同僚だった。

写真:サンクトペテルブルク大学の元教授、アナトリー・サプチャークの記念碑を除幕するプーチン大統領。

SNS「フコンタクテ」

2006年に大学を卒業したパーヴェル・ドゥーロフは、マーク・ザッカーバーグがFacebookを創設したのとほぼ同時期に、兄のニコライと共同でロシア最大のSNS「フコンタクテ」を設立した。

 

規制の少ない「フコンタクテ」

VKの略称で知られるフコンタクテ(VKontakte)は、そのころ成長目覚ましかったFacebookに触発されて生まれたSNSだ。しかし、フコンタクテは非常に規制が少ないことで注目を浴びるようになった。

 

スキャンダラスな選挙

ドゥーロフがロシア当局と最初に衝突したのは、2011年の国家院(ロシア下院)選挙においてだった。

検閲を拒否

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、ドゥーロフは、VKから対立候補のアカウントを削除するようにというロシア政府の要請を突っぱねたのだ。

「あっかんべー」

ドゥーロフは、パーカーを被ったハスキー犬が舌を突き出している写真をツイッターに投稿して意思表明。これに対し、警察特殊部隊を自宅に送り込んだ。

Telegramのアイデア

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、この事件によってドゥーロフは兄やビジネスパートナーと安全に連絡をとる方法がないことに気づいたのだという。2013年にサービスを開始したTelegramのアイデアはこのとき生まれたのだ。

 

政府との対立

一方、VKとロシア政府の衝突は何年も続くことになった。2014年のクリミア併合時には、親ウクライナ派の人々の個人情報引き渡しを頑なに拒んだ。

野党党首アレクセイ・ナワリヌイ

ドゥーロフはまた、野党党首アレクセイ・ナワリヌイのVKアカウント凍結も拒否した。

 

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カネに物を言わせるプーチン政権

結局、プーチン政権に近い投資家たちがVK株の48%あまりを購入、ドゥーロフを追放した。

カリブ海に亡命

ドゥーロフはセントクリストファー・ネイビスに移住し、市民権を取得した。

写真:Holger Woizick / Unsplash

言論の自由があるプラットフォームを

ドゥーロフはこの島でTelegramの開発に取り組んだ。Telegramの通信はエンドツーエンドで暗号化されており、イランや中国、キューバなど政府による情報統制が敷かれている地域では反体制派が活用するようになった。

 

規制が緩すぎる?

一方で、Telegramの規制は緩すぎるという批判もある。米国や欧州連合(EU)では、誤った情報、ヘイトスピーチ、違法コンテンツなどを助長しているとしてやり玉に挙がっているのだ。

聖パーヴェル?

ロシアの司法当局は2018年から2020年にかけてTelegramを禁止。これに抗議する人々はパーヴェル・ドゥーロフを聖人に見立てた肖像画を掲げてデモを行った。

 

 

フランス国籍の取得

ドゥーロフはフランスで暮したことがない上、フランス語も流暢ではないが、「卓越した外国人」という例外的なカテゴリが適用され、2021年にフランス国籍を取得した。しかし、フランス政府はドゥーロフに対する国籍付与の理由について、口を閉ざしたままだ。

画像:Anthony Choren / Unsplash

サイバー戦の舞台に

『タイム』誌によると、すでに10億ダウンロードを突破したTelegramはウクライナ侵攻におけるサイバー戦の舞台になっているという。

クレムリンと協力?

しかし、前出のナワリヌイをはじめ、Telegramはロシア政府と協力しはじめたと非難する人もいる。最近、地方選挙中に「スマート投票」のチャネルを凍結するなどしたためだ。

ゼレンスキー大統領も愛用

とはいえ、ロシアの反体制派やウクライナの人々から支持を集めるTelegram。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめ、ウクライナの政府関係者たちもTelegramの公式チャンネルを通して人々に情報を発信し続けている。

時代のキーパーソン

ロシアとウクライナがTelegram上で情報戦を繰り広げる今、パーヴェル・ドゥーロフが時代のキーパーソンとなったことは疑いの余地がない。そんな中で起きた今回の逮捕劇によって、不安をかき立てられた人も多いはずだ。

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