ウクライナ侵攻を始めたロシアが被った損害の規模とは:米機密情報の解除により明らかに

侵攻から2年2か月
長期化の一途を辿る戦争
ロシアの出した死傷者数
ウクライナ側の推計では
アメリカで機密解除された情報
当初投入された人員の実に87%
装備の損耗も激しい
古い備蓄を利用している
作戦行動に影響するほどの損耗
3分の2の戦車を失う
OSINT組織の推計とも一致
2,500両以上の喪失が確認されている
歩兵戦闘車の32%を失う
これもOSINT組織の推計に近い
「尋常でない手段」を取らざるを得ないロシア
受刑者や高齢の市民を動員
損耗の具体的な規模が明らかに
侵攻から2年2か月

ウクライナへの侵攻を命じた当初、ロシアのプーチン大統領は数日のうちにウクライナの首都キーウが陥落すると考えていた。

長期化の一途を辿る戦争

だが事態は目論見通りにはいかず、ロシアの軍勢を撃退。戦争は今日まで続いており、ロシア社会も大きな損害を被りつつある。

ロシアの出した死傷者数

ロシアもウクライナも自国の死傷者数についての統計を公表していないが、両国の損害の概算は存在する。とりわけ、ウクライナ軍参謀本部がロシアの死傷者数として公表した数字は驚くべきものとなっている。

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ウクライナ側の推計では

たとえば、昨年12月13日の時点で開戦以来ロシアが失った人的資源は34万1,500人もの数にのぼるとされている。ウクライナの公表した数字は信じられないと思うかもしれないが、アメリカの得た情報と照らし合わせるとあながち誇張とも言い切れなくなってくる。

アメリカで機密解除された情報

先ごろアメリカで機密指定が解除され報道各社が伝えているあるレポートによると、ロシアはウクライナでの戦争の結果、2022年2月の開戦以来少なくとも31万5,000人を失ったとされているのだ。

当初投入された人員の実に87%

31万5,000人という死傷者数は膨大なものであり、当初ウクライナ侵攻に投入された36万人の実に87%にも達する。この推計が正しければ、ロシア政府や軍にとっては無視できない数字であるはずだ。

装備の損耗も激しい

しかも、侵攻開始以来ロシア軍が被ってきた損害は人的被害だけではない。侵攻開始前に保有していた兵器や軍事車両の備蓄も、まもなく2年になろうとする侵攻の結果大きく損耗している。

古い備蓄を利用している

CNNはある推計を紹介、「11月下旬時点でロシアは戦前に備蓄していた地上装備の4分の1以上を失った」としている。さらに、現在ロシア軍が利用している装備は型落ち品などの古くなった備蓄だとも指摘している。

作戦行動に影響するほどの損耗

CNNのレポートはこう続いている:「損耗の結果、ロシアの作戦行動の複雑さや規模は低下し、2023年初旬以降はウクライナで大きな成果を挙げられていない」では、装備の損耗についてはアメリカの調査ではどう言われているのだろうか。

3分の2の戦車を失う

アメリカのレポートでは、ロシアが戦前に約3,500両保有していた戦車のうち2,200両、つまりほぼ3分の2が破壊されたとしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が伝えている。

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OSINT組織の推計とも一致

2,200両という数字はオランダに拠点を置くOSINT組織「Oryx」の推計とも一致する。「Oryx」は宇露両軍の損失を写真や動画などのエビデンスに基づいて計測し続けている。

2,500両以上の喪失が確認されている

「Oryx」は昨年12月13日時点で、これまでロシアが失った戦車の数を2,541両としている。そのうち1,665両が破壊され、141両が損傷、188両が放棄され547両がウクライナ軍に鹵獲されたと言われている。

歩兵戦闘車の32%を失う

また、アメリカの情報ではロシアは13,600両保有していた歩兵戦闘車のうち4,400両を失ったとも言われている。つまり、開戦以来実に32%も損耗したということになる。

これもOSINT組織の推計に近い

この数字も「Oryx」のものと近い。「Oryx」では3,144両の歩兵戦闘車が失われたことを確認しており、そのうち2,203両が破壊されたとしている。

「尋常でない手段」を取らざるを得ないロシア

アメリカのレポートでは次のように述べられている:「ロシアは大規模な損耗を被っており、軍事作戦の継続のために尋常でない手段を取らざるを得なくなっている。実際、2022年末には30万人の追加部分動員を宣言している」ロイター通信が元のレポートを引用して報じている。

受刑者や高齢の市民を動員

元のレポートでは、こういった損耗の結果ロシアでは新兵募集の際の基準を下げざるを得ず、受刑者や高齢の市民も受け入れつつあるとも指摘されている。

損耗の具体的な規模が明らかに

『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙のウォレン・ストロベル記者はロシアがかなりの規模の人員や装備を失っていると認められることをすでに指摘していた。

今回明らかとなった情報ではその具体的な数字が確認できたと言えそうだ。

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