イスラエルの砂漠にそびえる高さ230mの光の塔:「サウロンの目」とは

砂漠にそびえる光の塔
太陽熱発電所
55,000枚の鏡の海
完成時は世界一の高さを誇ったソーラー発電所
数万世帯へ電力を供給
焼け落ちる鳥
太陽熱発電の仕組み
発電コストが高い?
ネゲヴ砂漠の第二の太陽
世界最大の太陽熱発電所
何もないところに突然出現
イスラエルのネゲヴ砂漠
太陽熱発電の問題点
エネルギーを蓄える巨大バッテリー
世界に普及する太陽熱発電
次世代のクリーンエネルギー
砂漠にそびえる光の塔

砂漠の真ん中にそびえる光の塔。『ロード・オブ・ザ・リング』の”サウロンの目”とも呼ばれるこの塔は、直視すると失明しそうなほど強烈な光を発している。その正体は一体何なのだろう?

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太陽熱発電所

その正体は、イスラエル南部のネゲヴ砂漠にある、世界有数のタワー式太陽熱発電所、アシャリム・ソーラータワーだ。

55,000枚の鏡の海

ここではタワーを囲むように55,000枚の鏡が配置されている。こうした鏡で反射された太陽光はサウロンの目に集められ、その熱により電気エネルギーが生成されているのだ。写真はまだ建設途中の塔の様子。

完成時は世界一の高さを誇ったソーラー発電所

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、240mのアシャリム・ソーラータワーは世界一の高さを誇っていたが、最近ドバイに建設された260mの「Noor Energy 1」に1位の座を奪われた。

数万世帯へ電力を供給

同紙によれば、この太陽熱発電所からは数万世帯に電力が供給されているという。

焼け落ちる鳥

しかし、サウロンの目には危険も潜んでいる。近くを飛んだ鳥は焼け死んでしまい、遺骸が落ちてくると、近くの住民が『ニューヨーク・タイムズ』紙に語っているのだ。

 

太陽熱発電の仕組み

太陽光をたくさんの鏡で一カ所に集め、熱に変換する。その熱で水を500度以上に加熱して蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回転させて発電する。太陽熱発電は、持続可能な未来を支えるクリーンな再生可能エネルギーだとされている。

 

発電コストが高い?

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、コスト面の問題を指摘している:この発電所におけるエネルギー生産コストは割高になるというのだ。専門家たちは、技術改善によりこうした問題は解決可能だとしている。

 

 

ネゲヴ砂漠の第二の太陽

ネゲヴ砂漠にそびえたつサウロンの目の輝きは、何キロも先から確認することができる。まるで第二の太陽のようだ。

世界最大の太陽熱発電所

しかし、世界最大の太陽熱発電所はネゲヴ砂漠ではなく別の場所にある。それはアメリカのモハベ砂漠にある、3基のタワーを持つアイバンパ・バレーだ。

 

何もないところに突然出現

広い土地を必要とする太陽光発電所の建設にもっとも適した場所は、砂漠地帯だ。そして、何もないところに突然大規模な設備が現れるさまは、見るものを圧倒する。写真は世界最大の太陽熱発電所、アイヴァンパ。

イスラエルのネゲヴ砂漠

イスラエルは長年にわたって、乾燥地域を最大限に活用する技術を磨いてきた。写真はサウロンの目があるネゲヴ砂漠に作られたブドウ畑。

 

太陽熱発電の問題点

太陽熱発電所は、C02排出や公害廃棄物を出さないクリーンエネルギーの実現を目指している。しかし、他の再生可能エネルギーと同様、未解決の問題を抱えている。生産した全てのエネルギーを貯蔵する方法だ。

画像: Laura Ockel / Unsplash

 

エネルギーを蓄える巨大バッテリー

再生可能エネルギーを保存するためのバッテリーはすでに存在するが、生産したエネルギーを効率よく、あますことなく保存できる大型バッテリーの開発はまだ実現されていない。現時点でこの問題は完全には解決されておらず、太陽や風力で作られたエネルギーの多くが失われている。

画像:Nuno Marques / Unsplash

世界に普及する太陽熱発電

いずれにせよ、こうした鏡の海が広がる光景は、エネルギー生産の手段として多くの国に広がりつつある。データ専門サイト『Statista』によれば、世界で最も太陽熱を生産・消費している国は、中国とアメリカだ。そして、ドイツ、トルコ、スペインなどでも太陽熱発電の割合が着々と伸びている。写真は中国のハミにある太陽熱発電所。

 

次世代のクリーンエネルギー

イスラエルの砂漠にそびえたつ「サウロンの目」は地域のシンボル的存在となった。そしてクリーンエネルギーの先端を行く試みとして世界的注目を集めている。

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