宇宙に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ望遠鏡、「巨大な古代銀河」の姿を捉える

望遠鏡が捉えた宇宙の姿
あるべきではない銀河の姿
6つの巨大銀河
想像を超えた質量
宇宙の夜明けに生まれた銀河
年齢とサイズ
130億歳の可能性も
「それらの銀河は巨大」
さらなるデータが必要
「とんでもない発見」
「これらの銀河が形をなす時間的余裕はなかった」
科学的知識を根底からくつがえす
「ユニバース・ブレイカーズ」
宇宙論の99%とそぐわない
初期の宇宙を初めて覗いた
宇宙の常識が書き直される?
望遠鏡が捉えた宇宙の姿

NASAを中心として、各国の機関から協力を得て開発されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は2021年12月に打ち上げられた。宇宙についてさらに理解を深めるためのプロジェクトだが、この望遠鏡が最近捉えた映像により人類はあらたな問題にぶつかってしまったようだ。

あるべきではない銀河の姿

北斗七星にほど近い夜空の一区画を調査するさいに撮られた写真には、本来そこにあるべきではない、異常に年老いた銀河がいくつか写っていた。

写真:NASA

6つの巨大銀河

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮影された映像には、6つの巨大銀河のかすかな痕跡がまぎれこんでいた。天体物理学者たちの論によると、これらの銀河はおそらくビッグバンのすぐあとに生まれたものであるが、あまりに古くあまりに巨大なので、それらが実在するとは考えがたいという。

写真:NASA

想像を超えた質量

「これらの物体の質量は、われわれの想像をはるかに超えています」とJoel Lejaは語る。彼はペンシルベニア州立大学で天文学と天体物理学を教える助教授であり、ニュースサイト『Phys.org』によると、今回発見された銀河から発せられる光をモデル化する作業にあたった。

写真:NASA

宇宙の夜明けに生まれた銀河

「私たちは、まだ小さくて幼い赤ちゃんの銀河が見つかるだろうと予期していました。ところが、このたび発見された銀河は、私たちの住む銀河と同じくらい成熟しており、これまでわれわれが宇宙の夜明けと考えていたころに早くも誕生したものだったのです」と、Joel Lejaは付け加えた。

写真:Flickr @James Webb Space Telescope

年齢とサイズ

これらの銀河の年齢とサイズは、どちらもきわめて重要なデータである。なぜなら、その予備的データが正しい場合、初期宇宙の誕生について私たちが持ち合わせている知識のすべてが覆される可能性があるからだ。

130億歳の可能性も

「このたび銀河の候補に上がったものは、どれもビッグバンからおおよそ5億年から7億年後の、宇宙の夜明けにすでに存在していたものかもしれない。あるいは130億年以上前にさかのぼる可能性もある」と、コロラド大学ボルダー校のDaniel Strainは書いている。ちなみにビッグバンは138億年前に起きたとされる。

写真:Ball Aerospace available at Wikicommons

「それらの銀河は巨大」

それらの銀河は巨大だと、Daniel Strainは続ける。それぞれの銀河に存在する天体の数は、今日の天の河銀河における天体の数とほとんど同じくらいだというのだ。

写真:Flickr @James Webb Space Telescope

さらなるデータが必要

ウェブサイト『ScienceDaily』によると、この銀河たちが見た目のとおり老齢で巨大であることを確認するには、さらなるデータが必要ということだ。「とはいえ、その予備的な観測結果は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が天文学の教科書を書き換えるのでは、という期待をそそるのに十分である」と、同記事は続けた。

写真:NASA

「とんでもない発見」

「この発見にはびっくり仰天しました」と、Erica Nelsonはコメントした。彼女はコロラド大学ボルダー校の天体物理学者で、6つの古代銀河を報告した論文の共同執筆者のひとりである。

写真:Ball Aerospace available at Wikicommons

「これらの銀河が形をなす時間的余裕はなかった」

「初期の宇宙がそれほど短期間に形成されるとは、想像もしていませんでした。これらの銀河が形をなすような時間的余裕はなかったはずなんです」と、Erica Nelsonは続ける。

科学的知識を根底からくつがえす

Erica Nelsonの発言と響き合うように、Joel Lejaはこう言う:「巨大銀河の形成が宇宙の歴史のきわめて早い段階で始まったということが明らかになれば、すでに揺るぎのないものと我々の多くが考えている科学的知識が、根底から覆されることになります。

「ユニバース・ブレイカーズ」

Joel Lejaによると、研究チームのメンバーらは、彼らが発見した6つの超大質量銀河のことを仲間うちで「ユニバース・ブレイカーズ」と呼んでいるという。宇宙についての人類の知識が、これらの銀河によって木っ端みじんに砕かれてしまうかもしれない、という意味合いがこめられている。

写真:NASA

宇宙論の99%とそぐわない

科学の難しい議論にはここでは立ち入らないが、主な点を要約するとすれば、これら6つの銀河はどれもあまりに巨大すぎて、現在われわれが有している宇宙論のモデルとは(Joel Lejaの言によれば)99パーセントがた相容れないのである。

初期の宇宙を初めて覗いた

「私たちは、人類の歴史で初めて、かなり初期の宇宙を覗き込んだのでした。そこで何が見つかるのか見当もついていませんでした」とJoel Lejaは言う。

宇宙の常識が書き直される?

「私たちが見つけたものはまったく予期せぬもので、げんに自然科学に問題をまきおこす発見でした。それは初期銀河の形成を語る全体図をまるごと破綻させてしまいかねない発見だったのです」

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