半世紀にわたり燃えさかる、トルクメニスタンの「地獄の門」

実在する「地獄の門」
カラクム砂漠
「地獄の門」を封鎖?
「地獄の門」がもたらす問題
人道的、生態学的および経済的理由
「地獄の門」の誕生
調査中の事故
メタンガスの拡散を防ぐため
消えない炎
実はあいまいな起源
ふさわしい呼び名
どのように封鎖するのか?
観光資源ではあるが……
資源としての価値
年間およそ1万6,000立方メートル
封鎖は可能?
実在する「地獄の門」

「地獄の門」の異名でよく知られるダルヴァザのガスクレーター。中央アジアに位置するトルクメニスタンで半世紀にわたって燃え盛り続けている。

カラクム砂漠

カラクム砂漠にぽっかり口を開けた幅70メートル、深さおよそ30メートルのクレーターは、この地域で一番の観光名所となっている。

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「地獄の門」を封鎖?

しかし、トルクメニスタンのグルバングル・ベルディムハメドフ前大統領は様々な理由から、「地獄の門」を封鎖しようとしているのだ。

写真:Unsplash - Snowscat

「地獄の門」がもたらす問題

前大統領が理由として挙げたのは、カラクム砂漠で暮らす人々の健康問題や環境への負担などだ。

 

人道的、生態学的および経済的理由

さらに、トルクメニスタン当局は、資源として活用できるはずの天然ガスが燃焼によって失われ続けていると主張。

 

「地獄の門」の誕生

ダルヴァズのガスクレーターが誕生したのは1970年代だと考えられている。

調査中の事故

「地獄の門」がどのようにして生じたのかについては諸説ある。しかし、トルクメニスタンでもっとも受け入れられている説は、旧ソビエト連邦の技術者たちが1971年に行ったガス田調査にまつわるものだ。それによれば、掘削中に地面が崩落、天然ガスが陥没穴から噴き出すようになってしまったという。

 

メタンガスの拡散を防ぐため

メタンガスが大気中に放出されるのを防ぐため、地質学者たちはガスに点火する決断を下した。ところが、これが予想外の事態に発展することに……

 

消えない炎

当初、地質学者たちは数週間で火が消えると考えていたようだ。ところが、実際には50年あまり経った今もガスは噴出し、燃え盛り続けているのだ。

 

実はあいまいな起源

一方、『ナショナルジオグラフィック』誌の取材でこの地を訪れたカナダの探検家、ジョージ・クルニスは「地獄の門」の起源について本当のところはわからないと認めている。このクレーターの誕生にまつわる記録は文書に残されていないばかりか、近隣の住人さえ知らないのだ。

写真:Unsplash - Snowscat

ふさわしい呼び名

クレーターを目撃したクルニスは、「悪魔が現れても不思議ではない場所だった」と回想。まさに「地獄の門」と呼ぶにふさわしい光景が広がってるということだ。

 

どのように封鎖するのか?

では、一体どのようにしてこの巨大なクレーターを封鎖すればよいのだろうか?国営紙『ネイトラルヌイ・トルクメニスタン』の報道によれば、グルバングル・ベルディムハメドフ前大統領はすでに地元の学者たちに解決策を探らせているという。そして万が一、方法が見つからない場合には、海外の専門家にアドバイスを求めることもためらわない姿勢だ。

写真:Unsplash - Ybrayym Esenov

観光資源ではあるが……

「地獄の門」はトルクメニスタン屈指の観光資源となっているが、ベルディムハメドフ前大統領はそれでも封鎖する方が自国のためになると確信している。

 

資源としての価値

というのも、いくらこの壮大な光景が観光客をひきつけると言っても、ガスの消費による経済損失の方がはるかに大きいためだ。

 

 

年間およそ1万6,000立方メートル

BBCの取材に対し、研究者のジェロニム・ペロビッチはクレーターから放出される天然ガスの量を年間およそ1万6,000立方メートルと試算。これは「スイス国民が1年間に使用する量」に等しいという。

封鎖は可能?

トルクメニスタンの砂漠で燃え盛る「地獄の門」。今のところ、このクレーターを封鎖する技術や具体的な計画はもたらされていない。

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